福岡のパン屋さん元祖「三好屋」

 明治30年創業、福岡県内で一番早く開店した老舗パン店「三好屋」は福岡市博多区祇園町にあった。
 当時は北部九州にパン店は無く、パンを食する習慣も当然無い。明治35年佐世保海軍御用達、福岡医科大学(のち九州大学)御用達。明治38年日露戦争で戦勝しロシア人捕虜1000人は渡辺與八郎らの手引きで東中洲に収容所が開設されて収容、ここへ食パンを納入した。
 ロシア人の収容時、捕虜は自由に博多の町へ繰り出すことも許され、これが東中洲に歓楽街が誕生するきっかけとなる。大正3年のドイツ人捕虜収容時と合わせ、福岡の町でパン食が普及するきっかけともなった。
 明治末のあんぱん1個の価格は1銭、一般人へのパン食も次第に広がり、昭和13年には福岡市内に37軒のパン店ができたという。福岡高校など市内の複数の高校の売店のパンも担当していたので、懐かしい方も多いだろう。
 2006年8月末に後継者不在により閉店。
(文章@益田啓一郎 http://www.asocie.jp/archives/